4代目社長・河本英雄さんにお話を伺いました。

社名の由来はドイツの菓子職人

「ユーハイム」という社名は、ドイツ人の創業者・カール・ユーハイム氏に由来します。

菓子職人のカールは1915年、第一次世界大戦で捕虜として日本へ連行されました。

4年後、広島で開催されたドイツ人捕虜による展示即売会に参加。ここでドイツの伝統菓子であるバウムクーヘンを出品すると…これが人々の心を掴み大好評となります。

ドイツのお菓子が日本人に受け入れられると確信したカール。日本に残ることを選び、1923年、神戸に「ユーハイム」をオープンさせます。

その結果、初日から大繁盛！連日徹夜でお菓子作りに勤しむほどの好調ぶりでした。

順調な日々を送っていたカールでしたが…第二次世界大戦中に病を患い、終戦前日にこの世を去ってしまいます。

カールの意志を継いだのは妻のエリーゼでした。

彼が残したお菓子を守り続けると決意し、出来上がりや不始末に厳しく目を光らせます。その甲斐もあり、ユーハイムは戦後期を乗り切ったのです。

高度経済成長期に経営不振…支援を求めたのは“取引先の社長”

しかし…1958年、神戸の工場が火災で焼失。さらに競合他社も増えたことで、「ユーハイム」の経営に危機が訪れます。

そこで、エリーゼはある人物に助けを求めます。その人物は河本春男。ユーハイムにバターを卸していた取引先の社長でした。

なぜ春男に助けを求めたのでしょうか。それは、2人に「サッカー好き」という共通点があったから！

夫・カールがサッカーの選手だったとされるエリーゼ。そして、元々教職の仕事に就いており、サッカーの指導をしていた春男。彼らは一緒にサッカーを観に行っていたのだそうです。

さらに、春男の教育者・指導者としての能力にエリーゼが魅力を感じたのではと、4代目社長・河本さんは話します。

元々春男は申し出を断るつもりでしたが、エリーゼの熱意に押され…「ユーハイム」の経営に参入することに。

1962年に専務取締役として入社後、春男は生産性の向上に取り組みます。効率を重視することで量産体制を築いた結果…会社の経営は1年で黒字に転換！

さらに、バウムクーヘンでなくビスケットなどのお菓子で売り上げを伸ばし、企業として大きな成長を遂げます。

社長激怒の事件発生！原点に立ち返るきっかけに

1969年、工場の視察に訪れたエリーゼが激怒するという事件が発生します。会社の経営は順調なのに、一体なぜ…？

その理由にあったのは、ドイツにおけるバウムクーヘンの定義「自然な材料を使って作ること」。当時の「ユーハイム」はバウムクーヘンのみ自然な材料で作り、その他のお菓子については生産効率を考え食品添加物を加えていました。その工程を見て、エリーゼは激怒したのです。

彼女の思いを汲み取り、春男はこれまで生産性や効率を重視していた経営を見直すことを決意。

しかし…「純正自然なお菓子」を作るという方針に、社内からは反対の声が上がります。食品添加物は使って当然のものと考えられていたのです。

それでも春男は気持ちを曲げませんでした。その想いは息子の武にも受け継がれ、何十年もかけて徐々に自然な材料に移行していきます。

河本さんは「難しいことに挑むことで技術を磨き、その技術がお菓子を美味しくしていく」という考えが、会社には昔から存在していると話します。

再び訪れた存続の危機…救ったのは創業時のメモ⁉

90年代に入り、バブルが崩壊、さらには阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた「ユーハイム」。存続の危機に立たされます。

そんなある日…生前のエリーゼの家を整理していた武。すると、創業当時のバウムクーヘンのレシピが記載されたメモ書きを偶然発見します。

そこに書かれていたのはおなじみの輪っか型ではなく、森の木のような、凹凸があるバウムクーヘンでした。

何かの縁と思い、このバウムクーヘンを復刻販売したところ…珍しさから、たちまち大ヒット！

これをきっかけに、様々なパターンのバウムクーヘンを製造。その結果、「ユーハイム＝バウムクーヘン」という認知が関西人の間で広まっていったのです。

年間売上258億円！その意外な内訳とは

様々なお菓子を販売する「ユーハイム」。年間売上258億円の内訳を円グラフで見てみると…看板商品のバウムクーヘンは意外にも50億円。

実は、半数以上を占めるのは「他社の商品製造」です！コンビニやテーマパーク、大手スーパーなど、他社の商品として販売されるバウムクーヘンを受託生産。

食品添加物なしのバウムクーヘン。これを全国的に供給できるのが「ユーハイム」だけだからだろうと、現社長は話します。

さらに…その中で最も多いのは、海外スイーツブランドの日本展開時における商品製造委託。

海外ブランドから認められる理由は、「ユーハイム」の技術力に対する絶対の自信です！ドイツの国家資格である「ドイツ製菓マイスター」が5人も在籍し、原料が日本では使えない場合であっても海外ブランドが納得できるレベルの再現ができるそうです。

番組情報

〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道！マネー活用バラエティ！
〇放送日時
テレビ大阪 第1～3日曜日 午後2時放送！放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中
〇番組HP
https://www.tv-osaka.co.jp/ip4/moshimane/
〇もしマネYouTube再生リスト
https://www.youtube.com/watch?v=6Wfd4Gf2l74&list=PLtu-h0BP6Mk-n6KEfGFbhk6dQLJuhYTgU
〇番組TVer
https://tver.jp/series/srxig6d8zn

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